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2007年2月

2007年2月26日 (月)

SA1F内蔵HDD上のPSAの解析

 では引き続き,SA1F等で利用されているリカバリの仕組みに関する技術的な話に関して少々解説.

 

 なお,具体的なバックアップ方法を解説した前の記事はこちら

 ATA-5コマンドが利用可能なHDDであれば,SETMAXコマンドを使用することにより,設定した場所以降の領域を見えなくすることが可能になります.例えば,80GBのディスクの終端4GBの場所にSETMAXすることにより,これ以降の領域は見えなくなり,74GBの容量を持ったディスクとして認識されます.これがHPA(Hidden Protected Area)という仕組み.

 そしてHPA内には,リカバリに必要なプログラムやデータを収めた,いくつかのPSA(Protected Service Area)が格納されています.そしてPSAの全体的な情報を記録しているレコードがBEER(BIOS Engineering Extension Record)で,各PSAの記録場所などを記録しているのが,DoS(Directory of Services)エントリーです.つまり,PSAは,Win上からは通常の方法でアクセス出来なくなっており,また,その構造なども解析できないようになっています.

 そしてディスクからの起動時にまず読み込まれるMBR(から始まる11セクタ)にも細工がしてあり,これらPSAを使用するためのコードが書かれています.SA1F起動時に F4 が押されていなければ,通常通り,アクティブなパーティションにインストールされているWindowsXPが起動します.しかし,F4が押下されている場合は,これら仕込まれたコードにより,MBRから順繰りにコードを読み込み&実行していき,最終的にPSAに記録されているリカバリ用のアプリが起動するようになっています.

 HPA内にある大半のPSAは,実はパーティションとしての構造を持っています.私がSA1Fでの構造を調べた限りでは,8つのPSAが存在し,そのうちの4つ("RADA DATA","Factory Restore Data","Factory Restore","prism")がFATで,1つ("CONSOLE")がext2,そして残りの3つ("Recover Pro Records","Recover Pro","FirstWare Reserved Area")は不明でした(何某かのファイルやワークエリアだと思われる).

 このような特殊な仕組みを採ることにより,Windows上で発生した何らかのトラブルやウイルス等から,リカバリ用の領域を守れるというワケです.

 全体的な話に関し,もう少し詳しく知りたい方は,Phoenixの公開しているPhoenix cMEのwhite paperを参照してみて下さい.

 で,ThinkPad では,fwbackup.exe や fwrestore.exe というDOS上で動作するコマンドがPSA上に存在し,これらコマンドを使用することによりPSAを全てバックアップ可能で,また,別ディスクにリストア出来ました.しかし,SA1Fにはこれらコマンドは存在せず,リカバリに必要な最低限のファイルやコマンドしかありません(ライセンス料の関係?).

 では,PSAの中身を取り出そうとする際にはどうしたら良いかということですが,まずはHPAを覗く方法を説明すると,最近のlinuxを使っていれば特に何もすることはありません.ideドライバが下記のように勝手に認識してくれる上,dddやmountコマンド等であれば特に意識することなく,利用することが可能です.

   hda: Host Protected Area detected.
     current capacity is 148503558 sectors (76033 MB)
     native  capacity is 156301488 sectors (80026 MB)

   ※dmsgで確認出来る.SA1F00D内蔵の80GB HDDの場合.HPAは
    148503558~156301488セクタの約4GBであることが分かる

上記の部分だけをファイルに取り出す場合は,

   dd if=/dev/hda of=foo/bar/hogehoge.img skip=148503558 \
     count=7797930

のような形でddでダンプすればOKです.

 で,HPA領域をツールを使って解析を行う(直接HDD内のデータを解析しても良い)と,PSAはこのような構造になっていることが分かりました.もし,幸いにしてPSA領域にfwdir.exeコマンドが入っているマシンで解析を行おうとしているのであれば,これを利用しても位置情報は得ることが可能です.

 そして特定のPSA部分のみを取り出す場合は,同じくddでダンプしても良いのですが,場所が分かっているのであれば&パーティションとして有効なPSAの場合は,以下のように直接マウントすることも出来ます.

  mount /dev/hda /foo/bar -t vfat \
      -o ro,offset=`expr 512 "*" 149388294`

  ※149388294セクタからの場所に"Factory Restore Data"がある場合

 なお,HPAを別ファイルに書き出して作業している場合は,/dev/hdaをそのダンプしたファイル名にし,offsetするセクタ数の場所を,今回の例の場合はDoSに書かれているservice_area_startの数字から148503558を引く必要があります(/dev/hdaの148503558からダンプしたから).

 この情報を元にPSAの中身を見ると,以下のようなファイルが存在することを確認できます.

○RADA Data (FAT)
 eulaccep.ted registra.tio

○Factory Restore Data (FAT)
 stware.dat firstdis/ fwscript.ics
 image.002 image.imc resource.dar
 resource.dat
 (firstdisの下)
 fdscript.txt fdsetup.exe fwareapi.phx
 fwinit.phx fwint40.phx fwmbr.phx

○Factory Restore(FAT)
 autoexec.bat command.com fwdata.exe
 fwreboot.exe icmouse.com chooser.exe
 config.sys fweula.txt ibmbio.com
 nobreak.sys client.exe engl46.lng
 fwmount.exe ibmdos.com psadisk.sys

○prism
 errors/ html/ psadesc/ sysconf/ ui/

○CONSOLE (ext2)
 boot.b* initrd.gz kernel lost+found/ map

 "Factory Restore"はファイル名を見て分かるように,リカバリ時に起動するDOSのFDイメージになります.psadisk.sysはPSAを扱うためのドライバで,これを組み込んでいると,PSA領域をfwmount.exeを実行することによって任意のPSAをマウント可能になります.

 そして一連のリカバリ動作はautoexec.batに書かれています.まずは"Factory Restore Data"をマウントし,必要なファイルが一式あるかを確認し,マウスドライバ(icmouse.com)を読み込み&実行し,fwdata.exeを実行.その後にchooser.exeを実行して動作を選択させ,リカバリを選んだ場合はリカバリを実行し(内部的にclient.exeを呼んでる?),"firstdis"の下のfdsetup.exeを実行してfdscript.txtの設定通りにMBRやcME実行に必要となるデータをディスク先頭から書き込み(*.phxがそのイメージファイル).一通り終わったらfwreboot.exeを実行してリブートという感じ.

 ただ,ネットに転がっているImageCastのマニュアルを見たり,client.exeのヘルプ画面を見てみたりする限りにおいては,"Factory Restore Data"にあるデータ一式および"Factory Restore"にある一部のファイルのみでリカバリは出来る感じです.

 ちなみにfwscript.icsはclient.exe用のスクリプトとなっており,第一パーティション(Winを上げたときにCドライブとして見えるパーティション)のみをリカバリするように設定されていました.F4を押してリカバリを実行した際の挙動とも一致.

 前のエントリで触れたプログラムでは,リカバリに必要なファイル一式をDVD/CDに焼くようになっているので,後はUSBドライバを組み込んだDOSでブート出来れば,SA1F単体で(リカバリ領域の復元を除く)リカバリが可能になる筈です.

 この方法はいずれまとめるようにしますが,先のプログラムで焼いたメディアには,client.exeに渡す実行パラメータのサンプルを書いたファイルも入れるようにしてあるので,覗いてみると参考になるかもしれません.ただし,無保証なので,実行は自己責任で :-)

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SA1Fの内蔵ディスクをバックアップ

 記事書く順番を少し変更して,今回はSA1Fの内蔵ディスクのバックアップに関して簡単にまとめてみようと思います.

 SA1Fのディスク上には,工場出荷時の状態にリカバリするためのデータやプログラムが記録されています.そのため,普通の状態であれば,まずもって困ることはありません.しかし,ディスクの故障等が発生した場合には,困ったことになります.

 他のメーカーでは,リカバリ用のCD/DVDを同梱していたり,ディスク上のリカバリ領域をCD/DVDにバックアップするツールがインストールされていることが多く,ユーザ側で不測の事態にもある程度対応出来るのですが,SA1Fには何れも用意されていません.そのため,故障時には修理に出すか,WindowsXPのパッケージを購入して,クリーンインストールという形になります(後者の場合,予めSA1F用のドライバ等をディスクからバックアップしておかないといけないので要注意.また,この場合はリカバリ領域は作成できない).

 そこでSA1Fを使い倒す前に,如何にディスクのバックアップを取るかに関して検討したわけですが,

  1)とにかくディスク全体をフルダンプ
  2)リカバリに最低限必要な領域をバックアップ

 という2つの方針を考えました.

 で,作成したのがコレです.

 ISOイメージ(約50MB)をCDに焼き,それでブート.十分な容量のUSB HDDを繋いでおけば,ディスクをフルバックアップ出来ます.そしてリカバリDVDを作るために必要なイメージをDVD/CDに焼く機能もアリ(ただし,こちらの機能はこれから詰めていく予定.現在はまだ本来の機能を発揮しない).

 とりあえずこれで当初の目的は達しました.

 slax-fwrecoverやhpafsが既にあったので,案外楽に出来ました.感謝,感謝.特にPaul Bolle氏には足を向けて寝られません.

(DOS/Winで諸々行う方法に関しては,Datniodeath's JUNK Laboに詳しい解説があるので御一読あれ.(某掲示板で色々と情報ありがとう))

 ただ,今回作成した物は,HDDのバックアップに際しては,フルダンプ/フルリストア機能のみ.そのため,80GBをダンプするのに100分ほどかかったり,リストアするのに174分ほどかかったりする.おまけにディスク容量と同じサイズのファイルを作成する(gzipで圧縮しながら…っていうのを試したけど,CPUが非力なため,時間がかかり過ぎた…).氏の'07/2/25のエントリを読んでいて,『MBR/特定のパーティションのみ/リカバリに必要な領域のみ(HPA領域含む)』も選択可能に改良してみようかな~と思いつつ…時間が取れるときにでも.

 そもそもこんな苦労をする原因というのは,SA1Fをはじめとする多くの内蔵ディスクだけでリカバリ可能なPCでは,特殊な仕組みを使ってこの機能が実装されているため.

 技術的な話になるので,以下,別エントリに分けて書くことにします.

 続きはこちら

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2007年2月13日 (火)

工人舎 SA1F00D 購入

 昨年12月にSA1F00A,SA1F00B(*)が工人舎から発売になりました.もう既に入手してバリバリ使用している方も多いかと思いますが,私も遅ればせながら1/27に発売になったSA1F00D(**)を購入しました.諸々の環境整備がとりあえず一段落したので,ちょこちょこレポートを書いていこうと思います.で,ある程度記事がまとまったら,『SA1F活用メモ』ページでも作ることも検討中.

(*)SA1F00AのHDDを80GBにし,Officeをバンドルしたモデル
(**)ハードスペックおよびバンドルソフトはSA1F00Bと同じで,カラーリングのみホワイトに変更になったモデル

 さて,SA1Fシリーズの大きな特徴は,『非常に尖った』そのスペックにあります.詳しいスペックに関しては,メーカーのページを参照してもらうとして,主な特徴は以下のような感じ.

    小型
    軒並みA5サイズPCのラインが終息し,各メーカーがB5サイズにシフトする中,久しぶりに出たA5サイズの新モデル/ラインです.
    低価格
    SA1F00Aは直販モデルで89,800円也.店頭でも基本的に定価販売のようですが,BICやヨドバシ,Johshin等で購入すれば,ポイント還元で実質8万円と低価格.
    液晶
    低価格化を為し得た1つのファクターは,その使用液晶パネル.800x480というカーナビで使用されている液晶を使用.縦の解像度が少ないので,使用ソフトによっては少々難ありですが,明るく,また,発色も良いので,視認性は非常に良好です.
    低パフォーマンス
    低価格化を為し得たもう1つのファクターは,搭載しているCPU.AMD製のGeodeLX 800(0.9W)を採用. このCPUはシンクライアントや組み込み向けの x86 CPUであり,周辺チップも含めてワンチップ化しているという特徴がある他,消費電力が非常に少ない.その反面,パフォーマンスはあまり高くない.一般的なDVD-Videoの再生(標準ではWinDVDがインストールされており,このMPEG2 codecを使用してWindowsMediaPlayerで鑑賞することが推奨されている.WinDVDで観ると重い)でも,コマ落ちが発生する場合がある(bitrateが低いものであれば,何とか鑑賞出来ると思うが,アクション物の洋画とかを観ているとかなり引っかかる.「日本沈没」のメニューの動画もかなり悲惨な状況だった.これはUSB接続の外付けDVDドライブでの再生に限らず,daemonでマウントして再生とか,SMPlayerでDVD ISOを直接再生とかしても厳しいときがある.しかし,DivXの再生はほぼ問題無い).また,DirectDrawはアクセラレータ 使用可能だが,DirectXには対応しないため,3Dゲーム等はNG.割り切りが必要.
    キーボード
    一部変則配置であるが,16.8mmキーピッチのキーボードを搭載しており,快適にタッチタイプ可能なサイズ.クリック感も良好.(注:取りこぼしとその対策に関しては別エントリーにて書く予定)
    充実の無線関係
    無線LANとして,IEEE802.11b/gが利用可能なほか,Bluetooth  Ver,2.0+EDRにも対応.
    回転する液晶
    液晶をターンして,Tablet PC のような形態で利用可能.ただし液晶はタッチパネルではない.この形態にした際に,マウス操作を行うためのボタンが液晶左右に付いており,操作感も良好.ビューワーとしても便利に使える.
    楽しさ :-)
    何故か使っていてワクワクする.楽しい.

 悪い言い方をすると,小さくて持ち運びし易いし安いけど,液晶の画素数が少ないしパフォーマンスも低いので,その用途は限られる…と,いった感じ.しかし,この用途を選ぶ尖った感じが,逆にガジェットとしての楽しさを倍増しているような気も… :-)

 正直言って,SA1FはオールラウンダーのPCではないので,『普通に使うための NotePC』を探している人にはお勧め出来ません.逆に,自分がどのような用途で使うかのビジョンが明確であり,このスペックで十分か否かの見極めが可能な人(かつ,SA1Fで十分な人)にとっては,非常に良い製品である…と,いった所でしょうか.

 SA1F00Dですが,私は主に次のような用途で使っています/使う予定です.

  • Wzエディタで文書書き
  • FirefoxでWebブラウジング
  • TeraTermProでLinuxマシンへtelnet/SSH接続
  • 出先でWord,Excel,PowerPointを閲覧したり簡単な編集をしたり
  • ホテルからPHSを使ってリモート接続
  • 携帯動画プレイヤーとして
  • デジカメ画像の確認用ビューワおよび外部ストレージとして

 重い処理をする場合はデスクトップPCを使用したり,出先でSA1Fで対応出来ないようなことが予想される場合は別の NotePC を出動させる感じになりますが,実際には,出先ではSA1Fで十分なことが多いような感じ.

 今後の予定としては,

  • 軽く使うための環境設定
  • キーボードの改造
  • 有用なソフトの紹介

辺りから書いていこうと思います.

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2007年2月 6日 (火)

気まぐれコンセプト クロニクル

 今日はもう1つマンガの紹介.

 高校生の頃,「めぞん一刻」が読みたくて「ビックコミック スピリッツ」を読み始めました.その後は「美味しんぼ」や「ツルモク独身寮」を読むために買っていました.そんな中,ふと読み始めた「気まぐれコンセプト」は,4コママンガの面白さを私に開眼させてくれた連載.

 正直言ってこの作品に出会う以前は,4コママンガは殆どスルーでして,「ページ埋めのための連載?」「何が面白いの?」とか感じてしまう作品ばかり目にしてまして….

 その後,「伝染るんです」や「コージ苑」等,4コママンガの珠玉の宝庫であったスピリッツですが,次第に読みたい連載が無くなりまして,気が付いたら,たま~に読む程度という感じに.

 そう言えば,『ブラックジャックによろしく』がモーニングからスピリッツへ移籍(*)とのこと.関西のローカル番組である「せやねん!」(*2)でも取り上げられており,うはーっとビックリ.また読み始めるかも.

(*)『ブラックジャック』はビッグな作品の移籍ということで話題になっていますが,私は「東京トイボックス」が「モーニング」から「バーズ」に移籍した際にもショックを受けたました.色々と張り巡らされた伏線がようやく…と,いった矢先に「あれっ?連載終わりですか?」と,なったので.若干の空白期間の後,バーズで「大東京トイボックス」として復活してもらえて嬉しい限りですが,月刊誌になったので悲しい&売っているお店が近くにないので辛い.

(*2)関西ではすごくメジャーな番組[wikipediaリンク].
 「今週の気になるお金」(関西らしいなぁ)という1週間に起きた様々な出来事を,お金の側面から色々と調査して話を進めるコーナーがある.「この出来事の経済効果は○円!」とか,「□が△して×億円吹っ飛んだ!」等,お上品な番組では殆ど触ないような面を掘り下げてくれるので,観ていてひじょーにオモロイ.最近のネタでは,「『華麗なる一族』のこの1シーンのセット総額が○万円!」とか.今年の
女優のCM契約料の浮き沈みとか.
 関東方面ではあまりメジャーではない印象を受ける「トミーズ」も,関西ではスゴイ影響力があり,この番組で「この本はオモロイ!」とかちょっと言っただけで,本屋に問い合わせ殺到&絶版だった本が再販されたりとか,「この映画は泣けた!」とか言っただけで,同じく映画館に問い合わせ殺到して,急遽上映していなかった映画館でも上映されたりとかetc.話題に事欠かない.一方,関西ではオリエンタルラジオがあまりTVに出ていないので,そんなに売れているのかなぁ...という印象を受けたり….閑話休題.

 そんな折り,「気まぐれコンセプト」の単行本が無茶苦茶久しぶりに出るとのこと.Amazonでもベストセラートップ10に入っている.収録作品は,1984からの23年間分の連載の中から厳選したとのことで,バブル前から現在までのネタを時系列で追えるとのこと.早速購入してみると,すごい厚さと重さ.読む前に,まずはそのボリュームに圧倒された.

 このタイミングで出版されたのは,映画「バブルへGO!!」の宣伝の意味も込めてということに間違いないと思うのだけど,この映画も予告編を見る限りは面白そうだし,観に行きたいなぁ.2月10日からとのことなので,今週末行けるかな?

 思えばホイチョイの映画では,「私をスキーに連れてって」以来,単純に「楽しめる」という意味では,外れは無かったように思う.あぁそう言えば「私をスキーに…」は,東京で行われたマイクロマウスの大会で予選落ちを喫して(*3),時間が余っちゃったね…と,一緒に出場した友人と観に行ったっけ.映画館を出たときには予選落ちしたことなどすっかり忘れる程の爽快な気分になっていたような覚えがある.

(*3)本番前の調整時にセンサー部に触れてしまい,受光部を少し歪めてしまった.本番中にこれに気が付けなかったのは痛恨の極み.昨年はたまたま,CEATECH 2006の会場近くで行われていたロボット相撲を休憩時間にちょろっと抜け出して見に行けたのだけど,出場ロボットの完成度の高さには正直驚いた.マイクロマウス等が行われていた頃と比べると,隔世の感がありますねぇ.

 何だか話題が脱線しまくりだけど,「気まぐれコンセプト」はそんなマンガでした.

 もうちょっと分かりやすく書くと,読んでいて「あっ.これ読んだ覚えがある!」とか,「昔はこんなことあったよな~」とかいう話から,色々と昔の記憶が掘り出されて来ると言うか….

 「物心付いた頃には既にバブルが弾けてました」的な世代だと,このマンガを読んでも,今ひとつ面白さが分からないかもしれない.だけど,30代以上の人なら,かなり楽しめると思う.読んでみて1度面白く,色々思い出して2度おいしいというマンガです.

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イキガミ と スカイハイ

 Blog等あちこちで評判が良かったので購入.2,3巻はAmazonで.1巻は取り次ぎ在庫切れのようなのでガッカリしていたのだが,たまたま近くの書店で売られていたので,何とか購入できた.

 Amazonで買おうかなと考えている人は,書影画像がAmazonへのリンクになっているので,在庫状況はリンク先で確認してみてください.なお,1冊で2つのストーリーが完結する形なので,2巻から読み始めてもそれ程問題はありません.

 あらすじを書くのは避け,設定だけを書きますと,

 話は国家繁栄維持法の元,小学校入学時にある注射を打つことが義務づけられている国での出来事.この注射には,予め18歳から24歳までの間のある定められた日時に破裂し,死に至らしめるようにセットされたナノカプセルが1000人に1人の割合で混ぜられている.


 そして死に至る24時間前には,本人には「逝紙(イキガミ)」と呼ばれる死亡予告証が配達され,最後の1日を過ごすことになる.本書の主人公は,様々な疑問や苦悩を抱えつつも,イキガミ配達を担当する戸籍課の公務員.イキガミを渡された人々は,自らの死を宣告された後,最後の1日をどのように過ごすのか…

 と,いった話.

 「国家繁栄維持法」というトンデモな設定を抜きにすれば,日本で現在問題になっている話題をモチーフにしているものが多く,身近に感じられるストーリー展開が多い.泣ける話や憤りを感じる話等々様々で,非常に密度の濃いマンガでした.欲を言えば,コミック版だと見開き一杯に描かれているコマが少々迫力が足りなくなるのが残念かと…

 で,読み終わった後,ふとあるマンガを思い出した.「スカイハイ」である.

 スカイハイは高橋ツトム氏の作品.不慮の死を遂げた人の魂は「恨みの門」へ辿り着き,そこで門番である「イズコ」と過去を遡ったり,現在の自分の居なくなった世界を見たり等しながら,最終的に自分のこれからの身の振り方を決める.選択肢は3つ.人を一人呪い殺して地獄に逝くか,現世に止まって永遠に彷徨うか(行くか),自分の死を受け入れて天国へ行き,輪廻の扉を開けるか(生くか).

 「お逝きなさい

 釈由美子がイズコを演ずるドラマを観た人は多いかもしれない.

 私は「ドラマが話題になっていることを知り,その後原作を手に取り,それが切っ掛けではまりまくったクチ.

 当初は高橋氏の画風が少々苦手だったのだけど,読み進めるうちに,スカイハイは氏の画風あってこそだと実感.あの魂を鷲掴みされるような画の迫力は,あのタッチでなければ出せないだろう.エピソードによって,鳥肌が立つような戦慄を覚えたり,不覚にも涙が零れたり,怒りに打ち震えてしまったり色々.読むのに非常にエネルギーの必要なマンガであった.

 「スカイハイ」は,「スカイハイ」,「スカイハイ・カルマ」,「スカイハイ・新章」の3シリーズが出版されています.以下に,各シリーズの1巻目のリンクを張っておきます.


  スカイハイ(1)  

 スカイハイ・カルマ (1) 

 スカイハイ・新章 (1) 

 そしてドラマの方も秀作で,少し原作とイメージや設定が違う部分があるものの(特に第一シリーズのイズコの衣装には違和感が….また,作りが少々安っぽいのが残念),観ているうちに原作同様,引き込まれてしまいます.また,ドラマ版オリジナルのストーリーもあるのだけど,原作と同じくらいのストーリーのクオリティがあります.

 関西地域では深夜枠で放送されていたこともあり,何度家の中の物音でビクッとしたことか.あの独特の雰囲気は何とも言えないものがある.


 スカイハイ(1) 

 スカイハイ 2 Vol.1 

※レンタルもされているので,DISCASで借りて観るのも良いかと.あと,劇場版も出ています.

 マンガを読んで衝撃を感じたことが無い人は,是非「イキガミ」と「スカイハイ」を読んで欲しい.片方しか読んだことの無い人は,もう片方も読んでみて欲しい.「マンガ」を見る目が変わると思う.

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2007年2月 2日 (金)

兵士に聞け

 航空自衛隊の存在は,かなり身近に感じていた.

 大学に行くまで過ごした地元には,航空自衛隊の基地があった.

 物心付いたときから,空を見上げるとブルーインパルスが訓練をしているのがよく見えた.当時はF-86Fセイバーという朝鮮戦争の頃の機体を使用しており,その美しい編隊飛行には,つい見とれてしまったものだ.

 高校の頃は,某工業高校に自転車通学していた.そして通学路の頭上を,手を伸ばせば届きそうに感じるほどの間近を着陸コースに乗ったT-33練習機が轟音を立てて飛んでいるのを毎日のように見て過ごした.

(その後発生したブルーインパルスのT-2の墜落事故も,リアルタイムで見ていた.モクモクと立ち上る黒煙にはショックを感じたものだった…)

 そして高校の卒業後行った大学も,空自の基地がわりと近くにあり,バイクに乗って高速で走っていてふと上を見ると F15 が飛んでいるのを見かけたり.

 そんなわけで,身近に感じていた自衛隊だったが,直に自衛官と交流する機会は殆ど無く,比較的よく行った航空ショーのときくらい.それも言葉を交わすことなど殆ど無く,一人の「人」というよりも,「自衛官」という着ぐるみを見ているような感じだった.

 今も自衛隊の某施設近くの職場に勤めているし,近くの祭りの際には楽隊がパレードに参加しているので,娘と見に行ったりしているのだけど,未だに現職の方とは個人的な繋がりは無し.

 で,たまたま知って(例のごとく,Amazonの『こんな本も買ってます』で誘導)面白そうに思って購入したのが杉山隆男著の「兵士を見よ」.かなり濃い内容だったけど,一気に読んでしまった.そして続刊があると知って購入したのが「兵士を追え」こちらはハードカバーしか出てなかったので高く付いたけど,同じく貪るように読んだ.

 実は一連のシリーズは現在3冊出ており,1冊目として出ていたのが,今回紹介する「兵士に聞け」だ.

 福井晴敏著の「亡国のイージス」の主人公である仙石海曹のモデルになった人の話が載っているという話を聞き,早速にでも読みたかったのだが,版元品切れとのことで長らく手に入らなかった.その後古本を入手したのだが,あまりの風格(要するにボロボロ(^^;)だったため,しばらく読まずに隔離することに.そして最近増刷になったとのことで,買い直した.

 本書は,そのタイトル通り,外からは殆ど垣間見ることが出来ない,自衛隊の「人」の部分をインタビューを通じて明らかにしている.そして自衛隊の立場的な問題や組織的な問題,PKOのときの逸話など,微妙な問題に関しても突っ込んだ所を色々と知ることが出来る.

 PKOの話を読んでいたときに感じた衝撃とと憤りは,ベレンコ中尉亡命事件(Mig25が函館空港に強行着陸をし,パイロットが亡命した事件)の際に,ソ連が攻撃しに来るという情報が切っ掛けとなって,陸自に実弾配布&あわや自衛隊機を撃墜という所まで行った一連の話が書かれた書籍を読んだとき以来だ.この本の話はいずれまた.

 読了後感じたのは,背負っている大きな看板のために,「自衛隊」と一緒くたに語られることが多く,一個人としての個性や存在が見えなくなっているけれど,やはり人は人なんだなぁということである.別にこれは「自衛隊」に限らず,「会社」でもそうなのだけど.結局組織は人の集まりであり,人という単位では,それほどあまり変わらないといった所かな.喜ぶこともあれば苦悩することもある.

 あと驚いたのは,自衛隊というのは超巨大な官僚組織だということ.

 改めて考えれば当然といえば当然なのだが,「自衛隊は紙で動く」(膨大な書類手続きを経てようやく動くことを指している)という言葉が実感出来た.

 それと特に印象に強く残ったのは,陸・海・空それぞれのカラーを表した下記の言葉.

  陸自:用意周到 一歩後退
  空自:勇猛果敢 支離滅裂
  海自:伝統墨守 唯我独尊

 シリーズ中の様々なエピソードを読むと,「なるほどな~」と納得してしまう.

 「不肖・宮嶋」氏の一連の書籍でも自衛隊の話が読めるけど,「兵士」のシリーズは面白おかしくという形ではなく,極めて真面目に(*)に淡々と綴られた本です.

(*)「不肖」の方が不真面目という意味ではありません.あちらの方も,真面目な話を分かりやすく&面白くという意味で,とても計算されている良書だと思う.

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